北方のバラ 〜チェンマイ〜

バンコクから北に約700キロ、鉄道だと約13時間、飛行機なら約1時間のところにあるのがタイの古都チェンマイである。タイ語ではCHはシャシュショの発音だから、タイ人はシェンマイと発音する。タイには幾度か訪問していながら、ほとんどをバンコクで過ごしていた私は、かねてからチェンマイに行ってみたいと思っていた。2001年3月、ついにチャンスを得て、友人とともに、ほんの4日ほどだったが、チェンマイを訪れた。

かねてから行ってみたいとは思っていたものの、今回のチェンマイへの旅は急に思い立って行ったため、かなり準備不足。どこをどう見て来るべきかもわからず、とりあえず、空路、バンコクからチェンマイへと向かった。

到着したチェンマイの旧市街と呼ばれる地域は、昔のお城を囲むように1変1.8キロの正方形のお堀(城壁跡)で囲まれているため、自分がいる場所がどこなのか、いま一つ、わかりにくい。

チェンマイをタクシーで移動しようとすると、頻繁に、このお堀にそった道に遭遇するのだが、さっき見たお堀と今見ているお堀は同じ辺にあるなのか、あるいは、今は別の辺に沿って走っているのか・・・、正方形の辺に沿って一方通行をUターンしながら移動すると、自分の位置がわからなくなる。

マイペンライ!半日、トゥクトゥクをチャーターしてみた。半日で200バーツである。所用があって、チェンマイ大学に行きたかったので、ついでにドイ・ステープまで行ってくれないかと聞いたが、トゥクトゥクではムリだという。ドイ・ステープがどんなところか分からなかったが、後日、行ってみると山道がきつく、確かにトゥクトゥクにはムリだと納得した。

とにかくトゥクトゥクでチェンマイ大学まで行ってみた。山がすく近くにせまり、自然環境抜群なキャンパスは学業に専念できそうで良かったけれど、その広いキャンパスの案内板らしきものもなく、表示があってもタイ語のみ。学生に英語で尋ねてみて、その結果、学生とトゥクトゥクのドライバーが話したりしながら、やっとのことで用務先に到着。用事を済ませて、いざ、観光へと向かった。

チェンマイ大学から市街地に戻る途中に、お寺に寄った。寺の名前はわからないが、どうやらお坊さんの大学が併設されているところのようだ。

チェンマイ大学に行く途中、トゥクトゥクのドライバーが、お腹はすいてないかと聞いてきたが、友人も僕も、別に空腹でなかったので要らないと言っていた。しかし、どうやらドライバーは空腹だったらしく、我々をお寺におろすと、一目散に何処かへ消えて行った。

名前も知らない寺を友人とともに見学した。日本人観光客(女性二人)がガイドとともに来ていたので、それなりに観光ポイントなのだろうと思うが、それ以上のことはまったく不明である。

仏像は入って正面に座位のものがあるが、その裏側には直立しているものが飾られていた。他に、小さな仏像もおかれていた。

しかし、これはなんというお寺なのだろう?ご存じの方、教えてください。

お寺では、念珠や仏像のペンダントなどを売っているが、そのとなりに、小さなかごに入れられた小鳥がおかれていた。どうやらお金をだして、このかごの鳥を空に放つということのようだ。小鳥を空に放すことで功徳になるということなのだろうか。でも、それなら、最初に小鳥を捕まえて、このかごに詰めた人は、どうなってしまうのだろう?そんなことを考えながら、白人旅行者が鳥を空に放すのを見つめていた。

チェンマイには様々な工芸品の製造工場があり、バンコクのデパートで販売されたり海外に輸出されているタイ雑貨や手工芸品、繊維などの多くは、このあたりの工場で生産されているようである。

件のトゥクトゥク・ドライバーは半日チャーターで200Bと破格の値段と思ったが、結局、お寺一つを見た後のほとんどの時間を家具、銀製品、ガラス細工、漆器のアウトレットと称する製造工場+販売ショールームに連れて行かれた。もの珍しさもあったので、文句も言わずに連れられていったが、友人と僕はあまり良い客ではなく、ほとんど買い物せずにいた。たまに買い物すると、ドライバーはとても機嫌良く話しかけてくるようになることから、かなりのキックバックがあるのだろうと想像されるが、それでも、いろいろな製品がどのように作られているかを目の当たりにできるわけなので、そう悪い経験でもなかった。

しかし、最後には飽きてきた。(笑)

 

チェンマイは紙でも有名のようで、ちょうど和紙のように味のある紙を作っているようで、紙製品のお店にも連れて行かれた。そして、この傘職人に遭遇。

旅行者としては、かさばるおみやげ物なので買いはしなかったが、その鮮やかな色使いと絵柄には興味をひかれた。

 

ところで、チェンマイではバンコクのように流しのタクシーを見つけることは難しい。旅行者としては、結局、トゥクトゥクに頼ることになる。

このトゥクトゥク、タクシーのようにメーターが付いているわけではないので、すべて交渉によって乗ることになる。結局、それほど遠くなければ40〜50バーツくらい、ちょっと遠いとそれに上乗せするという感じのようだかが、観光客相手だとまずはふっかけてくる。

しかし、いちいち怒ってみてもしょうがない。向こうだって生活がかかっているのだ。高いからいい、と言ってみれば、結構、素直に値下げしてきたり、いくらなら良いんだ?と聞いてきたりする。だったら最初から適正料金を言って欲しいところだが、ここは挨拶代わりと思って我慢しておくことにしよう。

バンコクでもバイクが多いが、タイの田舎に行くと、その活躍はめざましい。ノーヘルの美女3人乗りに遭遇したが、これはさほど珍しい光景ではないようで、5人くらいまで乗れると聞いた。

タイにだって交通法規があるのだろうが、きれいごとでは生活していけない。事故があって困るのは自分。それでも乗ることは自己責任である。彼女たちは、自分をしっかり持って強く生きているように見えた。

友人のたっての希望で、ピン川沿いにあるギャラリーというお店に行った。ここはアンティークのお店になっており、奥に入ると川べりがレストランになっている。ピン川沿いのこの地域には、同様な店が並んでいるが、このギャラリーは元米国大統領クリントン夫人のヒラリーさまがお食事されたとのことで、それがセールスポイントにもなっている。店内にはヒラリーの写真も飾られていた。

昼下がりの一時を、ピン川を上り下りするボートをながめながら食事をするというのは、なんとものどかで幸せな気分だった。

 

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